教採体験談第15弾(京都府・中学校・社会)

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目次

1 はじめに

第15弾の今回は、2021年2月に京都府の教員採用試験を中学校社会科区分で合格された方へのインタビューの内容を編集した記事となっています。この方は福井県内の大学に在学し、小学校(2種)、中学校社会、高等学校地歴・公民の免許を取得しています。また、令和2年度(2020年度)に実施された令和3年度京都府公立学校教員採用候補者選考試験を大学4年次に受験し、合格されました。

この記事では、教員になろうと思ったきっかけや、教員採用試験に向けた対策の方法実際に試験で課された内容についてご紹介しています。勉強の方法に不安のある方、京都府の試験について知りたい方、どの自治体を受験するか迷っている方に読んでいただきたい記事です。

2 教員になろうと思ったきっかけ

教員を目指している理由

自分が選挙権を持つようになってから、中学校や高校のときに友達と政治の話をしたことがないと気づいたことが社会科の教員を目指したきっかけです。いざ選挙権をもったときに政治について何も知らず、困ったことがありました。政治は自分たちの生活に直結するものだから、政治に目を向けて自分たちの生活にどういう影響があるのかを考える必要があるし、それを教えたいと思うようになりました。そして、そのような広い視野をもつ子どもを育てるためには社会の公民的分野で、政治に対する批判的な見方などを身に付けてもらえるようにしたいと思いました

また、最終的に中学校を選んだ理由としては、中学生時代は子どもたちの関心が外に向く時期だからです。中学生は自分の世界が一気に広がる時期であると考えていて、そこにもっと広い視野で政治、あるいは国際情勢について知ってもらえるようにしたいと思っています。そうすれば選挙権が与えられたときに「あのときの学習が今の政治や投票先を判断するときに役立っているな」と思ってもらえるようにできるからです。子どもたちにそう思ってもらいたいと思って中学校を志望しました。

福井県内の大学から京都府の採用試験を受けた理由

福井県では、高校で採用された場合も、一度は必ず県内の小中学校の教員を経験しなければならないという決まりがあります。私自身としては専門的な知識を教えたいと思っていたので、中学校や高校で採用試験を受けることを決め、子どもたちが主体的に行動できるような教育を推進している自治体を大学1年生のころに探し始めました。大学3年生ごろに京都府の教育振興プランをみて、自分の理想の教育にあっていると感じ、京都府を選びました。
京都府の教育振興プランはこちら▷http://www.kyoto-be.ne.jp/soumu/2020plan/03kanni.pdf

3 京都府の教員採用試験

2020年度は新型コロナウイルスの影響を受け、例年一次試験で行われている一般教養の試験は二次試験で行われることとなりました。そのため、2020年度実施の試験では、一次試験では小論文、専門教科と集団面接を行い、二次試験では一般教養、教育実践力テスト(後述、2020年度は模擬授業のみ)と個人面接を行いました。

4 一次試験の内容と対策

一般教養

一般教養の試験のなかには、教職教養の要素も含まれています。一般教養6:教職教養4から、一般教養7:教職教養3程度の割合で出題されます。1問5点なので教職教養の部分も点数をとれるように対策できるとよいと思います。

大学3年生の2月ごろに教職教養の参考書を買いましたが、実際に対策を始めたのは3月の終わり頃でした。一般教養に関しては高校レベルの問題を解ける力が備わっていれば対策の必要はないと感じていたので、あまり対策をしませんでした。
対策が難しいと感じたのは京都府に関する問題です。例としては、京都府出身のノーベル賞受賞者は誰かといったものや、「祇園祭」など京都府特有のお祭りはいつ行われるのかといったものがあります。2020年実施のものはたまたま出題されませんでしたが、この問題は予測のしようがないと感じていて、「落としても仕方がない」くらいの気持ちで臨んでいました。

専門教科

私は一般教養で点数を稼いで、その分専門教科ではあまりとれなくてもよいという気持ちで教採に臨もうとしていましたが、コロナの影響で一般教養が二次試験になってしまったため、ひたすら専門教科の勉強に励みました。専門教科ではそもそもどこを覚えていないのかを確認することから始めることができたのでよかったと思います。私の場合は高校時代に世界史ばかり勉強していたので、日本史をほとんど覚えていなかったのと、選択科目の関係で地理を勉強していなかったので一から学ぶようなかたちになりました。高校生のときに習った記憶を思い返したり、覚え直したりすることに苦労しました。

集団面接

面接官2人、受験者2人の形式での集団面接でした。私が受けたときは「教員の不祥事、とくにセクハラ行為などが増えているという現状があるなかで、あなたは女子生徒や同僚の女性教員にどのように接しますか?」ということを聞かれました。最近は、教員が不祥事を起こして、教育の信用や信頼を失うという場面が多くあったので、それを考慮しているのだと思います。そのときは教員どうしのいじめの問題がメディアに取り上げられていたときだったこともあって、時事を取り入れながら回答しました。
面接では、ある1つの問題に対して、受験者どうしを引き合いに出し、見比べられているような印象がありました。面接官からの質問に答えても、その後さらに質問をされるのでそこで用意していなかった回答をどのように話すことができるかという対応力を求められていると感じました。

小論文

大学4年生の5月ごろから対策を始めました。私が受験したときは「生徒を学習に参加させるにはどのようにしたらよいか」ということが聞かれたと記憶しています。「自分の学級をこうしたい」「このようにして子どもたちを育てていきたい」というような自分なりの教育観をもっていればスムーズに書き進められるような問題だと思います。対策としては、文法上のミスは直す必要がありますが、それ以外では自分の教育観を固めるということが必要なように思います。

5 二次試験の内容と対策

個人面接

その人がどのような人となりかというような人物像を捉えることを目的としているような面接でした。聞き方も圧迫感のあるものではなく、自分の答えに対してさらに問いが返ってくるような形式でした。また、一次試験の集団面接と同様に自分が用意した回答を言うだけでなく、そこから発展した問いのときにどう対応するか、臨機応変に答えることができるかという対応力を見られているような感覚でした。
また、私は小中高の免許をすべて取得見込みであったこともあり、「どうして中学校を選んだのか」ということを聞かれました。小中高全て取得見込みであることが有利になったとは感じませんでした。
さらに京都の教採には、京都府での採用と京都市での採用があり、「どうして京都府を選んだのか」という質問は絶対に聞かれると思っていました。私は京都府の教育振興プランについて話しました。

模擬授業(教育実践力テスト)

京都府の教採では「教育実践力テスト」というものが行われます。例年は模擬授業と集団討論を組み合わせて行われるようですが、私のときは模擬授業のみが行われました。受験者が6人ほどに対して、面接官が2人いるかたちで、ホワイトボードを使っても良いという指示が与えられました。今回は模擬授業のお題が与えられて、事前に封筒で「この5つ(地理2つ・歴史2つ・公民1つ)から選んでください」と書かれたものが送られてきていました。私は公民を選び、価格の仕組みについての導入部分の10~15分の模擬授業を行いました。そして、そのあと2分程度、自分の授業に対して自分で振り返りをする時間がありました。

6 教員採用試験全般

対策で苦労したこと

面接対策に関しては、コロナの影響でなかなか友人と会うことができず、対面で面接練習をすることがあまりできませんでした。自分のなかで対策はしていましたが、対面で受け答えをすることは試験当日が初めてとなってしまいました。福井県内の大学に通っていたので、大学の面接対策も福井県向けのものがありましたが、京都府を志望していた私としては参加してもあまり効果が得られないかもしれないという気持ちがあったこととコロナ予防のため外出を控えていたことから、参加しませんでした。
ずっと1人で戦ったことが対策において苦労したことだと思います。

自分の強みになったこと

私は学生時代に地域の子どもたちと関わる活動や不登校の子どもたちの支援活動を行っていたので、「不登校の生徒とどのように関わりますか」といった質問があったときに前置きとして自分の実体験を話すことができたのは強みになったと思います。
もしそのような機会があったら、面接に限らずこれから先の教員生活でも役に立つと思うので、ぜひ挑戦してみてほしいです。

7 今後、教員採用試験を受ける人へのメッセージ

私が受験した年は、新型コロナウイルス感染症の影響で休校になったり、アルバイトが休業になったりすることがあって、1日10時間くらい勉強することができました。その影響が少し落ち着いて、ふつうの学校生活を送ることになると思いますが、どのように自分の気持ちを作っていくかが大変だと思います。みんなでやるぞという空気を作って、同期でがんばる風潮を作ることが大切です。仲間がいるのはとても心強いです。みなさん、頑張ってください。

8 関連記事

今回は中学校・高校の教採体験談をご紹介します。

教採体験談インタビュー 第1弾(Sさん・高等学校) その1

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教採体験談インタビュー 第9弾(千葉県・千葉市・中学校) その1

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9 編集後記

教員採用試験の対策において、自分の教育観を整理しそれを書いたり話したりできるようにすることが必要であることが分かりました。この記事が「どのような教師になりたい」「教師になって、こんな教育をしたい」というようなビジョンを描くひとつのきっかけになれば幸いです。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 千葉)

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