【著書紹介】『本当は大切だけど、誰も教えてくれない学級経営42のこと』(大前暁政先生)

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目次

1 はじめに

本記事は、2020年12月発売の『本当は大切だけど、誰も教えてくれない学級経営42のこと』(明治図書出版社)について、著者の大前暁政が皆さまに紹介する記事となっております。

2 書籍について

概要

本書は、学級経営において、本当は大切だけど、誰も教えてくれない知識を紹介するものです。学級経営には、絶対に必要な知識のはずなのに、教師になる前も、教師になってからも、誰も教えてくれない「重要な知識」が存在します。それらを余すことなく紹介しています。

類書との違い

本書で紹介する知識を得ることで、学級経営に関して「俯瞰の目」を養うことができます。もちろん、「俯瞰の目」を養うためには、少し難しい知識を「数多く」、しかも「体系的に」学ぶ必要があります。本書が類書と決定的に違うのは、俯瞰の目」を養うために、「重要な知識」に絞って、余すことなく、しかもそれらを体系的に示したところです。

こんな先生に読んでほしい

学級経営を成功させるために重要なのは、学級経営の「ゴール」と、そこに向かうための「具体的な手立て」を知ることです。「学級経営のゴールも知らないまま、教師を続けますか?」本書は、全ての教師にこの問いを突きつけるものです。全ての学級担任に読んでほしい書籍です。

3 一部を紹介!

『本当は大切だけど、誰も教えてくれない学級経営42のこと』(明治図書)より、第7章の一部を紹介いたします!

(1)子ども社会がもつ「差別構造」とはどのようなものでしょうか。

「差別構造」とは、力関係の強い子と弱い子に分かれてしまう、上下関係の構造のことです。前年度の学級経営が上手くいっていないと、学級集団の中に「差別構造」が存在することがあります。ここで問題となるのが、この「差別構造」は非常に強固な場合があり、何も手立てを打たないままだと、1年間にわたって継続してしまうことです。例えば「掃除で雑巾掛けをいつも同じ子にやらせる」「チーム分けで特定の子を入れない」などの明かな差別から、「何となくその子を避ける」「何となくその子を馬鹿にする雰囲気がある」といった目立たないものまで、教室には「差別構造」が見え隠れしています。

(2)子ども社会の「差別構造」に対する教師のアプローチとしては、どのようなものが好ましいでしょうか。

「差別のない、平等な関係」をつくらないと、学級経営のゴールには到底、到達することはできません。ところが、先に述べたように差別構造は非常に強固な場合があります。力のある教師が意識をして指導し続けてもなお、差別構造が残っていることに気付かされる。そんな具合です。そんな強固な差別構造に、どう対応したらよいのでしょうか。

その手立てを知るには、学級経営における手立ての「種類」を知っておかなくてはなりません。教師が直接的に指導する場面だけで、学級経営が行われているわけではありません。教師の直接的指導の他に、差別が起きにくい「環境づくり」も必要です。「環境づくり」は、直接的指導とは違った意味をもつ、学級経営の手立てになります。

手立ては他にもあります。それは「システムづくり」です。教師が気付いていないところで差別が起きていても、それを食い止めることのできる「仕組み」をつくることを意味します。この「システムづくり」も、「直接的指導」や「環境づくり」とは違った意味をもつ、学級経営の手立てになります。

このように、学級経営の手立ての「種類」を知り、そしてそれぞれの手立てを実行していく必要があるのです。学級経営を教師の直接的な指導だけでやろうとするから、1年経っても差別が残ったままになってしまうのです。

(3)子どもとの心の交流において重要なものとは何でしょうか。

学級経営には、教師と子どもとの心の交流が欠かせません。優れた先人の学級経営実践では必ず、子どもと教師の心の交流が行われてきました。心の交流においても、数多くの手立ての「種類」があります。例えば「心の交流」の前提として、子どもの性格やニーズに合わせて対応していく、といったようなことです。この手立ての「種類」に関して、まずいくつあるのかを知らなくてはなりません。

手立ての一つとして、「目標に向かって進んでいる教師の姿を見せる」ことがあります。学級経営において子ども達は、自分の目標を設定し、その目標に向かって挑戦しています。ここで大切になるのが、教師もまた、自分の目標を設定しているということです。それは集団づくりの目標でもよいですし、よい授業をしたいという目標でも結構です。自分の教師力を高めたいという目標でもよいでしょう。何らかの目標があって、教師もまたそれに挑戦しているはずなのです。重要なのは、目標に向かって強烈に進んでいる教師の姿を、子どもに見せることです。

これも一つの心の交流なのです。心の交流と一言でいっても、手立てにはさまざまな「種類」があります。その種類を知り、種類ごとの具体的なやり方を知らないといけないのです。

(4)よく見られる教師側の問題としてはどのようなものが挙げられるでしょうか。

よくある問題として挙げられるのは、教師の「直接的指導」だけで何とか学級経営を進めようとしてしまうことです。熱心な教師ほど陥りやすいミスなので注意が必要です。もちろん、教師の「直接的指導」は学級経営において重要です。しかし、学級経営において子どもの活動が活発になってくると、どんなに力のある教師でも、全ての活動を把握し、直接的に指導するには、時間的にも労力的にも無理が出てきます。結果として、教師の「直接的指導」だけでは、学級経営のゴールにはなかなか到達しないのです。
そこで、教師の「直接的指導」だけではなく、学級経営のさまざまな種類の手立てとその具体的なやり方を知り、実行していく必要があります。

本書を読むことで、学級経営に不可欠な「俯瞰の目」を養うことができ、次の手立てや具体的な方法を理解することができるはずです。

4 プロフィール

大前暁政(おおまえあきまさ) 京都文教大学

岡山大学大学院教育学研究科修了後、公立小学校教諭を経て、2013年4月京都文教大学准教授に就任。教員養成課程において、教育方法論や理科などの教職科目を担当。「どの子も可能性をもっており、その可能性を引き出し伸ばすことが教師の仕事」ととらえ、現場と連携し新しい教育を生み出す研究を行っている。文部科学省委託体力アッププロジェクト委員、教育委員会要請の理科教育課程編成委員などを歴任。著書として、「子どもを自立へ導く学級経営ピラミッド」、「本当は大切だけど、誰も教えてくれない教師の仕事40のこと」、「先生のためのセルフコーチング」、「プロ教師直伝!授業成功のゴールデンルール」など多数。
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5 Amazonページ

『本当は大切だけど、誰も教えてくれない学級経営42のこと』(明治図書)

6 読者へのメッセージ

最も大切なことは、学級経営のゴールを把握し、到達するためのさまざまな手立ての種類や具体的な方法を知ることです。ところが、現状は、学級経営のゴールすら統一的な指標のないまま、全国の学級経営が行われています。最低でも、学級経営のゴールは知らないと、手立ても何も始まりません。「学級経営のゴールも知らないまま、教師を続けますか?」本書は、すべての教師にこの問いを突きつけるものなのです。

(編集:EDUPEDIA編集部 河本)

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