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【教育への興味×人材業界】キャリア選択インタビュー(リクルートキャリア 佐藤光紘さん)

1 はじめに

この記事は、株式会社リクルートキャリアで新卒キャリアアドバイザーとして働いている佐藤光紘さんへの取材を記事化したものです。(取材は2020年10月実施、情報は現時点でのものです)

この取材では、佐藤さんの幼少期からのキャリア形成や現在の仕事、これからキャリア選択をする方へのアドバイスについてお話しいただきました。「将来は教育に携わりたいが、どのような職業に就くか迷っている……」と悩んでいる方は、ぜひご一読ください。

2 キャリア形成について

キャリア形成について、幼少期からの佐藤さんの性格・経験を振り返りつつお話ししていただきました。

幼少期・中高時代

幼少期はアトピー性皮膚炎がひどくて、いじめにあっていました。そのため、引っ込み思案な性格で、一人でゲームに没頭する時間が好きな子どもでした。

中学生・高校生になると、いじめの原因だったアトピー性皮膚炎も落ち着いてきました。この頃から体が大きくなり、運動が得意になったこともあり、自分に自信が持てるようになってきました。そのため、何事に対しても真面目に取り組む優等生タイプの生徒でした。学校行事は一生懸命取り組んでいましたし、勉強や部活動である陸上部の練習にも熱心に取り組んでいました。

幼少期・中高時代の将来の夢

幼少期はウルトラマンになりたいと思っていました。ヒーローが好きだったことと、いじめられていた経験から、強くなりたいと願っていたことが影響していると思います。小学校、中学校に上がって、将来の夢が現実味を帯びていくにつれて、正義のヒーローへの憧れからか、消防士や警察官になりたいと考えるようになりました。

高校入学当初は、社会科の先生に興味がありました。学校の勉強、特に社会科が好きだったからです。その後学年が上がると、自分は勉強が得意だと気がつき、国家公務員に漠然とした憧れを抱くようになりました。

大学時代

学部

今思えば非常に浅い理由でしたが、国家公務員への憧れと、クイズ番組で活躍されていた京大法学部出身の宇治原さんへの憧れにより、法学部を選択しました。法学部では法律全般を学んでいましたが、国家公務員を志望していたこともあって、法律よりは政治系の授業を多く履修していました。

サークル

大学生活を通じて3つのサークルに入っていました。

1つ目は、知的障がい者を支援するボランティアサークルです。高校時代に陸上部で自身の記録のために活動してきた自分にとって、その団体の先輩方が他者のために活動する姿勢に憧れたのが入ったきっかけです。活動自体は非常に有意義で、様々な学びがありました。障がい者の方々との関わりの中で、誰しもかけがえのない持ち味があるのだということを実感しました。しかし、リスクを避けるため新しい取り組みに対して消極的なサークルの風潮が、自分には合いませんでした。この気づきは、保守的な職業が不向きであるという自己理解に繋がりました

2つ目は、大学2年生の時から所属していた教育系のNPO法人ROJEです。ROJEでは、大学生向けの授業を企画するサークルを中心に活動していました。後述する理由で高校以前の教育システムに問題意識を感じた際に、実際に教育系NPOに入って、教育はどうあるべきかを学んでいきたいと考えたのが入会のきっかけです。

3つ目は、大学4年生から所属していたエンカレッジという就活支援団体です。大学4年生になって既にキャリア支援に関する就職先が決まっていたうえに、就活で悩んだ経験を後輩に還元したいという思いがあったので、実際に就活生の相談に乗る活動をしていました。

3 現在の職業を選んだ理由

きっかけとなった経験・出来事

大学に入学する前は受験勉強をとにかく真剣に取り組んでいました。高校までは詰め込み勉強が評価されていましたが、大学ではそうはいきませんでした。大学のゼミで死刑制度の是非や国際政治のあり方について議論をした際に、自分の意見が浮かばず、議論に全くついていけなかったのです。こうした答えのない問いに面したときに、高校まで一生懸命やってきた知識偏重型・暗記型の勉強が大学入学以降、社会に出ていくうえではあまり役に立たないことを知り、大きな挫折を味わいました。

その体験から、「教育と社会を接続する仕事がしたい」と考えていました。それから様々な職業を調べ、話を聞く中で、民間人校長という職業があることを知りました。民間人校長とは、実際に社会人として働いたことのある人や、管理職の経験がある人が、学校の校長としてマネジメントをする仕事です。これは実際に社会に出て働いた経験を活かし、その中で得た知見を学校教育の中に取り入れられる仕組み・仕事であるため、自分のやりたいことに近いと感じました。

また、「教育と社会を接続したい」と考えたときに、社会で必要とされていることを知らなければならないといけないと考え、「社会に出る」、つまり「働くこと」の様々なシーンに関わることのできる人材業界に興味を持ちました。その中でも、民間人校長を多く輩出している会社を希望しました。

選ぶうえでの観点・軸

私は「将来的に自分のやりたいことを実現できる可能性が高いかどうか」「そのために必要な知識やスキルを身に付けられるかどうか」を重視して、職業を選びました。陸上部の経験や受験の経験から、自分は明確な目標があれば一生懸命頑張ることができる人間だと理解していたため、「民間人校長になって教育と社会を接続する」という目標を実現できるファーストキャリアは何かという観点から就活をしていました。

教職や教育行政機関・企業に就職しなかった理由

1つ目は、人材業界という選択肢の方が、「教育と社会を接続する」というビジョン実現に近づけると考えたためです。私は、教育において大切なのは「社会に出て働く際、活躍するために必要なスキル・姿勢を育むこと」だと捉えています。社会人になると何かしらの形で「働く」ことになります。不自由なくイキイキと働くために必要な素養を育むことこそが、教育の役割として重要であると考えました。それに対して、教職や公的教育機関・企業では、多様な”働く現場”に触れる機会はほぼありません。社会に出てから活躍するために必要なこと、つまりどんな教育が必要なのか? を、実感とともに知ることができないのではないかと考えました。そのため、人材業界で幅広い職業に触れた後に校長になった方が、より意味のある学びを届けられると思い、この業界を選択しました。

2つ目は、性格的特徴です。私は、幼少期にいじめを受けた経験から承認欲求が強く、より多くの人から賞賛の声をいただくことに喜びを覚えます。そのため、一定の範囲への影響力が持てる仕事をしたいと考えました。しかし同時に、自分自身の「手触り感」も仕事のやりがいを感じる上で重要だと捉えていました。「手触り感」とは、自分自身の仕事によって誰かに影響を与えたという実感です。この私の性格と照らし合わせた時に、教職の仕事は”私にとっては”影響範囲が限定的だと感じました。一方で、教育行政機関・企業は影響範囲が広いものの、「手触り感」が得られにくいのではないかと考えました。

以上の理由から、人材業界で様々な「働く現場」に触れる中で、社会に出る上で必要なスキル・姿勢は何なのかをリアリティを持って理解する。そのうえで、民間人校長として人材業界で得た知見を教育現場に還元し、「教育と社会の接続」を実現する道が一番よいと考えました。

4 現在の職業について

現在の職務内容

現在は、人材業界の株式会社リクルートキャリアで、新卒のキャリアアドバイザーとして働いています。就活生は、内省し自身の理解を深めるとともに、400万社以上ある企業の中から自分にマッチする企業を探していく必要があります。また、企業の採用選考の場では、自分のことをしっかりとPRできなければ内定には至りません。私たちキャリアアドバイザーは、企業と学生との間に立つ仕事です。学生一人一人のPRポイントを探すサポートをしたり、向いている仕事の紹介や選考のアドバイスをしたりと、学生が納得して就職活動を終えられるように様々なサポートを行っています。

仕事のやりがい

人生の中でとても重要な選択であるファーストキャリアの選択に携われていることに、やりがいを感じます。自分が企業と学生の間を仲介することで、学生の人生をよりよい方向性に導く喜びを実感できます。実際に紹介した企業に入社をされたときには、とても感謝していただけて、こちらまで嬉しくなります。

また、自分の長所や短所について、明確に言語化できていなかったり、仕事に対する間違った認識を持っていたりする学生が、就活を通して人間的に成長していく姿を見ることができるのも大きなやりがいだと感じています。

辛いと感じるところ

もちろん、全ての学生の就職活動が上手くいくわけではありませんから、自分の力不足もあり就職まで支援できないケースもありました。そういったときに辛さを感じます。また、1年という限られた時間の中で多くの学生の就職成功に繋げなくてはならないので、業務量が多い点は大変です。

加えて民間企業に勤める身として、自分たちのサービスを更に拡大していかないといけないという使命を持っています。そのため、企業の掲げる目標を常に負いながら学生さんの成功に繋げるという狭間に立って仕事をしていかなければならないのも人材業界を志望する学生に知ってもらいたいところです。

これからのキャリアについて

「民間人校長になって教育と社会を接続する」というテーマはずっと変わっていません。そのために、民間人校長に必要なマネジメント経験をできる限り早く積みたいと考えています。また、民間人校長になるためには実績も必要なので、まずは20代のうちに管理職になることを目標にしています。

管理職としてマネジメント経験を数年積んだあとは、本格的に教育に携わっていくために、教育現場に近いところで仕事をしたいと考えています。そのうえで、30代後半から40歳で民間人校長になるというのを自分の中で中期的な目標にしています。ただ、「民間人校長になる」という夢は「教育と社会を接続する」ための手段だと考えているので、夢が変わる可能性もあると感じています。

5 キャリア選択のアドバイス

教育に興味のある学生へキャリアを選択する際のアドバイス

一言でいうと、教育業界へ視野を狭めない方がよいということです。教育に明確な興味があるというのはよいことだと思いますが、本当にそうなのか、根本を疑ってみるべきだと思います。私も、就活をしているときは、ありとあらゆる職業を知るために、業種に関わらず、かなりの数のインターンやOB訪問をしました。それを経たからこそ、「教育と社会の接続」に人生をかけたいという強い意志が芽生えて、前向きに仕事に取り組めていると感じています。比較検討して決めた仕事であれば、辛いことがあっても信念を持って取り組めると思います。

また、教育といっても様々なかかわり方があるので、「自分にとって教育とは何か」「どのような教育を実現したいのか」という点も考えてほしいと思います。私の場合、教育とは「社会に出る際に必要とされる知識やスキル、姿勢を育むものである」と考えているので、「教育と社会を接続する」という目標を立てました。

キャリアを選択する際のアドバイス

キャリア選択の際には、圧倒的なレベルで自分を知ることが大切になってきます。表層的な自己理解にとどまらず、自分と向き合いながら自己理解をすることが、本質的なキャリア形成に繋がると考えています。思い出したくない経験に対しても客観的に向き合っていくことで、本当の自分が見えてくると思います。そのためには、机の上でいろいろ考えるのも大切ですが、周囲からフィードバックをもらうのも大切です。例えば、小学校の通知表の所見を見たり、小学校時代の友達に自分がクラスの中でどんな立ち位置だったかを確認したりしていました。そのレベルでありのままの自分を知ることができると、本当に納得のいくキャリア選択に繋がると思います。

6 プロフィール

佐藤光紘さん

株式会社リクルートキャリア 新卒エージェント 関西キャリアアドバイザーリーダー

1994年北海道札幌市生まれ。京都大学法学部卒。大学在学中には、知的障がい者支援サークルや教育系NPO、就活支援団体等の活動に打ち込む。

2017年、株式会社リクルートキャリアに新卒入社。以来キャリアアドバイザーとして、西日本の学生を中心に約2000人の学生の就活支援を行う。現在は、新卒エージェント関西支社のキャリアアドバイザーリーダーとして、チーム・各種プロジェクトマネジメント業務にも従事。(2020年10月現在)

7 編集後記

取材を通して、キャリア選択をする上での自己分析の必要性を改めて感じる機会になりました。「教育に関する仕事がしたい」という思いをさらに掘り下げて考えることで、本当に自分がやりたいことを見つけられるのだと実感しました。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 安藝航)

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