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英語の授業で歌って遊ぼう!~英語の歌で音を楽しむ~(教育技術×EDUPEDIA スペシャル・インタビュー第25回 永井淳子先生)

1 はじめに

本記事は、雑誌『教育技術』(小学館)とEDUPEDIAのコラボ企画として行われた永井淳子先生へのインタビューを記事化したものです。

学習指導要領の改訂や社会の流れによる英語学習の低年齢化に伴い、英語の自然なリズムやイントネーションにもっと触れてほしい、という思いから改訂発売されたのが『新版 うたって遊ぼう 小学生の英語の歌』。インタビューでは、歌やゲームを通して子どもと一緒に授業を楽しむアイデアや、英語らしい発音に近づくための聞く力の大切さなどについて伺いました。記事を読み終わったら、今まで苦手だった英語の授業が楽しみになるかもしれません。

『教育技術』4月号にもインタビュー記事が載っていますので、そちらも合わせてご覧ください。
教育技術.net

2 インタビュー

◆本書の特徴

——学習指導要領の改訂と英語の歌の教材は、どのような関係にあるのでしょうか?

2011年度から実施された学習指導要領では、5,6年生で年間35単位時間の外国語活動が必修化されました。そして、2020年度に全面実施される新学習指導要領では、3,4年生では外国語活動として必修化、5,6年は教科になります。

このように、英語に触れる始める学年が低年齢化していますし、発音や英語の音声の大切さについて学習指導要領でも言われるようになりました。そこで、自然に英語のリズムやイントネーションに触れられる歌の教材をもっと活用していただきたいと思いました。

——本書の特徴はどんな点にありますか?

コンセプトは「歌って遊ぼう」です。歌あそびを楽しみながら、英語表現にたっぷり親しむことができます。掲載している曲は、英語圏の子どもたちに歌いつがれ、遊びつがれてきた歌を厳選しました。英語圏で昔から歌われてきたものなので、英語らしいリズムが感じられ、外国から来て日本の小学校で学ぶことになった子どもたちとも一緒に歌って遊べるでしょう。監修して頂いた久埜百合先生は「歌は世界の言葉」と仰っています。

付属のCDには、標準的で聞きやすい発音の音源を全28曲とカラオケ6曲を収録しました。また、曲に合わせた振り付けやゲームなど、どの歌をどのように活用して、どんなことを学べるのかをかわいいイラストや日本語で具体的に解説しているので使いやすく、CDをかけてすぐに活動できるのがポイントです。他にも、楽譜、歌詞と意味も載せています。


試し読みページより)

——学年による活動の違いなどはありますか?

低学年は、音に素直で、無邪気に反応できる年齢です。歌詞の意味と一致する振りのついた歌や体全体を動かす歌を経験させることで、英語を体で感じ、吸収していきます。

中学年は、低学年と同様、手遊びや振りつきの歌で楽しく活動できますが、エネルギッシュな活動的なものを好む時期でもあります。

高学年はゲームの内容が少し複雑でも、その複雑さを楽しめるようになります。また、他人を思いやる気持ちも芽生えてくるので、みんなで協力しながら行う活動にも取り組めます。

しかし、これはあくまでも目安ですので、目の前の子どもの学習歴やクラスの状況に合わせて歌や活動を選んでいただけたらと思います。

◆英語らしい発音、リズム音の流れを丸ごと感じる

——歌って楽しく遊ぶだけでなく、しっかり学習活動の狙いがあるのですね。

小学校の英語で大事にしたいのは、子どもに英語の自然なリズムやイントネーションといった「英語らしい音声」を身につけさせることです。始めから単語を一つずつ正確に聞き取らせ、言わせようとするのではなく、英語のフレーズ、音の流れを丸ごと感じとらせたいと思います。

例えば“If you’re happy and you know it”と歌うところでは、「イフ・ユー・アー・ハッピー・アンド・ユー・ノウ・イット」と単語を一つひとつ区切ってはうまく歌えません。何度もフレーズ全体を聞く中で、リズムを感じながらだんだんと歌えるようになっていきます。頭で考えず、自分でリズムを感じながら身に付けていくのです。このような英語らしいリズムや音声を子どもに獲得させるのに歌は非常に効果的です。

気を付けたいのは、英語の発音やイントネーションなどは、カタカナでは表せないということです。子どもは音を聞きながら、自分で正しい発音へ修正する力があります。早く英語を言わせたいからといって、大人がカタカナを振って読ませることは避けたいですね。子どもの音を聞き取る力を信じてください。

◆授業での活用

——英語が苦手な先生は指導に自信が持てないかもしれません。本書を授業ではどのように使うとよいでしょうか?

実際の授業では、ウォームアップとして二曲くらい歌うことから授業を始めると、国語や算数など前の授業から自然にギアチェンジでき、英語学習へのよい助走になります。授業前に曲をかけておくのもよいでしょう。歌は気持ちを和やかにするので、リラックスして授業に臨めるのではないでしょうか。

先生は英語が苦手でも、子どもにどんどん音を聞かせてください。まず大事にしたいのは、自然な英語の音の流れに慣れ親しむことです。子どもたちの、音声に対する感性には素晴らしいものがあります。子どもは歌を聞きながら、だんだん自分が歌えるところを口に出すようになります。始めは無言なのに、次第に分かるところを自分から歌うようになるのです。

また、曲の中で子どもたちが歌いにくいような箇所があれば、授業で先生がしっかり歌ってみせたり、そこだけCDを繰り返しかけたりするのも有効でしょう。掃除の時間や休み時間にCDをかけておくと、自然に子どもたちは歌を覚え、自分が歌えるところを口ずさむようになります。先生は自分が上手に発音する自信がないから歌を歌う活動を避けてしまうのでなく、むしろCDをよい音源としてどんどん活用し、先生も一緒に練習する姿を見せ、子どもたちと楽しみながら歌っていけばよいのです。

◆活動に参加しやすい

——上手に歌えなくても自分のペースで活動に参加できるのがいいですね。

「曲を聞くだけ」「自分が言えるところだけ言う」など子どもによって自分ができる範囲で参加できます。そして、少しでも活動に参加できれば、そこから歌や英語に親しむきっかけになると思います。また、子どもたちが「英語をうまく言えなきゃダメだ」と感じないよう、プレッシャーを与えないことが大切です。歌を聞いたり、友だちとの活動に参加しながら英語の音声に触れたりするだけでも学びがあります。

——歌と遊びを通して、学級づくりにも繋がるように思います。

そうですね、クラスの実態や学年に応じて曲や活動を選んでいただけたらと思います。“Pease Pudding Hot”の手たたき遊びなど、子ども同士ペアになっての活動が難しい場合は、先生が全体の前に立って「先生とみんなでやろう」と言って先生の方を向いて一斉にやることもあります。逆に先生が子どもたちの方へ行って、一人ひとりと活動していくということもあります。目の前の子どもたちの状況で活動をアレンジしてやってみてください。

◆音をよく聞くには

——子どもが音に興味を持つようになるコツはありますか?

楽しみながら「思わず」聞いちゃうのが大切です。コツとしては、歌った後に先生が「何が聞こえた?」「何回聞こえた?」「本当に?」と聞いて、「じゃあもう一回聞いて確かめよう」といったやり取りも効果的です。子どもが「次はもっと聞こう」という気持ちになります。

単に「何度も聞けば英語を聞けるようになります。さぁもう一度聞きましょう」と言うだけでは子どもが意欲を持つのは難しいですね。授業とはいえ、子どもたちは言語や英語の学習をしている、という意識は少ないのですから。「もっと聞きたい!」と思わせる工夫が必要です。

中学年からの必修化に向けて、素直に英語の音や歌で遊べる低学年の時期から、先生も一緒に遊べる環境の中で英語に触れさせることがとても大事です。最近では、英語の番組や教材を使って、小学校に入る前から英語に親しんでいる子も多いのではないでしょうか。すでに音に慣れている経験を低学年で活用し、みんなで共有していくことは、学校生活において有益なことだと思います。

——耳の感覚は大人より子どもの方が敏感なイメージがあります。先生が「自分は子どもよりできない」とマイナスに考えなくてもよいのですね。

はい、指導の際は「先生と一緒に聞いてみよう」という気張らないスタンスでよいと思います。例えば“Bingo”の歌なら、農夫と犬の様子を示す絵を使うとよいでしょう。CDと一緒に歌いながら絵を指し示すと、子どもが自分で歌の意味をつかみ、だんだんと言えるところから歌い出します。そのようにしながら、先生も子どもと一緒に歌えるようになれば大丈夫です。先生だからと言って、うまく歌えないのは恥ずかしいことではありません。子どもたちも先生と一緒に上手になっていくのが嬉しいと思います。

試し読みページより)

——音を聞く段階から、英語を読む段階へと進むポイントはありますか?

高学年の子どもたちには、活動を通して曲を歌えるようになったら、さりげなく歌詞を渡したりもします。すると子どもは「あれ、この曲前に歌った曲じゃない?」と言い出すので、「そうかな?じゃあ、みんなで歌いながら、歌詞を指で追ってみよう!」と誘います。そして、先生も子どもたちも一緒に、歌を歌いながら歌詞の文字を指追いしていきます。このようにして、「読めた気がする」体験を積みながら、音声と文字との結びつきへの理解を深めていきます。

そのためには、子どもたちが音に十分親しみ、聞いて理解できる状態になっていることが大事です。歌で慣れ親しんだ音を文字で確認するのは、文字に関心を持つようになる高学年ではおすすめですが、それでも音が聞き取れていない状態でいきなり読ませたり、書かせたりしないよう、注意が必要です。

また、歌を聞いていると、メロディーと一緒に英語のフレーズを覚えられるので、英語の語順への気づきにもつながります。歌詞には、過去形や進行形なども出てきます。歌を通してそのような表現に出合っておくことは、後々の英語学習にも役立つでしょう。知っている言葉を手がかりに相手の言っていることを推測し、ゆくゆくは自分の思いを英語らしく伝えられる力を育みたいと考えています。

◆現場の困り感

——英語の授業で先生はどのようなことに困っているのでしょうか?

子どもとやり取りで、とっさに英語が出てこないことに不安を持たれたり、簡単な英語ではあっても、英語らしく話すことに抵抗や難しさを感じる先生もおられるようです。

そんな問題も、まずは英語の音声に慣れ親しむことから挑戦していただけるとよいと思います。本書の歌のCDを活用して、英語らしいリズムやイントネーションに浸ることから始めましょう。時には、メロデイーなしで、歌詞を英語らしく声に出して言ってみることも効果的です。発音にも自信がつきます。また、歌だけだはなく、やさしい早口言葉なども使って英語らしい音声を楽しく身につけていけるとよいと思います。

先生が気持ちを込めて英語を話すことも大切なポイントです。単に「これは何ですか?」と詰問調で言うより、物をチラッと見せて「これ、なーんだ?」という気持ちで “What's this?”と問いかけると子どもも惹きつけられます。教材の見せ方などのコツは他の教科と同じだと思いますので、先生の持ち味を活かして英語で表現してみましょう。

難しく考えずに、まずは先生も子どもたちと一緒に聞いて、歌って、楽しんでください。そして、子どもと一緒に英語を身につけていきましょう。発音はCDで保証されているのですから。

3 永井先生プロフィール

永井淳子(ながい じゅんこ)先生
東京都市大学付属小学校 英語科講師
青山学院大学 恵泉女学園大学 非常勤講師

(2019年2月9日時点のものです)

4 著書紹介


『新版 うたって遊ぼう 小学生の英語の歌』(CD付)
久埜百合/監修 永井淳子・粕谷恭子/著 
https://www.shogakukan.co.jp/books/09105071

どの歌を、どのように活用して、どんなことが学べるのか具体的にわかるので、授業で子どもたちと歌ってみたくなる曲がすぐに見つかります。

小学校の英語の授業に歌を取り入れることで、子どもたちは英語が好きになり、楽しみながら英語を身につけていくことができます。ぜひ子どもたちと一緒に英語の歌を楽しんでください。

そのほかの著書

「小学校英語1~子どもの学習能力に寄り添う指導方法の提案~」(2010年)

「小学校英語2~子どもの学習能力に寄り添う授業つくりの提案~」(2012年)

「小学校英語3~絵本を活用した授業つくり~」(2018年)
 (いずれも (一財)語学教育研究所 / 共著)

*HP 一般財団法人 語学教育研究所

5 関連ページ

教育技術.net

『教育技術』4月号に掲載のインタビュー記事も合わせてご覧ください。

教育技術.net

【教育技術×EDUPEDIAコラボ】スペシャルインタビュー

第1回からのインタビューまとめページはコチラ

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