海外で教員になることのススメ

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目次

1 海外の学校で働く女性教師にきく                         ~なぜ海外で教えようと思ったか~

グローバル化が叫ばれるこの時世、学生や社会人の海外志向も強まっています。教員を目指している方、もしくは現役教師の方の中にも、「海外で教鞭をとりたい」という人もいるのではないでしょうか。今回は、イギリスの私立高校で家庭科を教えることが決まり、現在出発間近である柏木亜依先生にお話を伺いました。

【 柏木亜依 先生 】

大学の家政学部でファッションについて研究しながら、教員免許(家庭科/中・高)を取得。他の進路とも迷ったなかで、教師の道を選ぶ。私立の共学高校で2年間教え、教育を通して女の子の役に立つことがしたいという思いから、その後私立の女子中高一貫校で5年間家庭科を教える。その学校は国際教育に力を入れており、柏木先生は、この学校が主催する海外から帰国した小学生のための無料の英語スクールの運営に携わったり、オーストラリア人の英語ネイティブの先生とともに“グローバルクラス”の担任をしたりする。

  

 このような経歴をお持ちの柏木先生。いったいなぜ海外の学校での教員生活を選んだのでしょうか。その理由についてこう答えてくださいました。
「2020年に教育改革が行われようとしていて、それにあわせて生徒たちにグローバルな視点を持たせようという教育界の流れがある。しかし、教員自体が世界を知らないことには、子どもたちにグローバルな視点を伝え、力を身につけさせることはできない。だから、教員がずっと日本から外に出ないことはしっくりこない。」
 柏木先生は、今日のグローバルな視点を子どもたちに伝えるための自分自身の視点や経験を得ようと、敢えて海外で教壇に立つというわけなのです。もちろん、海外で教えたいという方の中には、自分の英語力やそれまでの豊富な海外経験を活かしたいという動機を持つ人もいます。それに対し、柏木先生は、日本の子どもたちに自分自身の経験を還元してあげるための決断だったのです。
 それでは、柏木先生はどのような学校でこれから教えることになるのか、見てみましょう。

2 「海外で教える=外国の子供たちに教える」とは限らない                  ~海外に拠点を持つ日本の学校で教える~

 柏木先生が2018年6~7月頃から教えることになったのは、イギリスのロンドン南方にある「立教英国学院」という学校です。この学校は、日本でもなじみのある立教大学の系属校です。小学部(第5・6学年)、中学部。高等部が設置され、1972年に創立された男女共学の学校です。日本の文部科学省から国内の学校と同等であると認定を受けた最初の私立在外教育施設で、卒業・進学にあたっては日本国内の学校と同じ資格を有することになっています。英国や日本以外にも、欧州各地やアフリカ、中近東、アジアなどから来た生徒もいるそう。授業は英語で行われるものと、日本語で行われるものがあります。
 柏木先生の勤務することになる立教英国学院は、日本の学校とほぼ同じ扱いを受けている学校ですが、これ以外にも、海外の“日本人学校”で教員になるという選択肢もあります。
 
柏木先生は、立教英国学院の初めての家庭科の先生であるそうです。唯一の家庭科教員ということもあり、授業方針などは比較的自由に決めることができるそうで、これまで日本で教えていた学校でも取り組んでいた、地域とつながるような教育をしていくつもりだそうです。
柏木先生は本来2018年の5月中旬頃にはイギリスに出発する予定だったのが、イギリスのEU離脱の関係でまだ出発することができないことになっているそうです。海外で働くにはこのような国際情勢もからんだ大変さがあるのかもしれません。
 次に、柏木先生がどのような段階を踏んで海外の教員になることが決まったのか、見てみましょう。

3 海外の教員になるには

 柏木先生は、2017年の9月に私学の公募サイトにて立教英国学院の募集を見つけたそうです。特に私立の学校であると、募集の掲載時期のスパンが短いこともあるので、海外で教員になること目指す方はこのような募集サイトを自ら細目に情報収集をすることがとても重要だ、とおっしゃっていました。
 海外で教えるということで、かなり高い英語力が求められるような印象もありますが、同校に応募する際に必要だった英語力の証明は、IELTS 4.0以上(英検準2級程度)と、そこまで高い印象ではありませんでした。

4 教員としての自分の視野を広げるためにも、海外で教える

 文部科学省は、「将来の予測が困難な複雑で変化の激しい社会や、グローバル化が進展する社会に求められる資質・能力」「グローバルな視点で活躍するために必要な資質・能力の育成」、などということを謳っています。この文部科学省の世界全体の流れをとらえた上での教育の目標を達成するためには、確かに、まずは教員自身が世界に目を向けて、リアリティのある海外の話ができるようになるのが良いのかもしれません。
 そのためには、今回お話を伺った柏木先生のような、「海外で教員になる」という経験は、将来必ず日本の子どもたちのためになることなのだと思います。

5 プロフィール

柏木亜依(かしわぎあい)
中学高校家庭科教師。NGO法人プランインターナショナルアカデミー生。「家庭科を通して地域や世界と繋がる」をモットーに事業実践を行う。2018年ロンドンへ渡英して教鞭を執る。

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