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今の小学生が大人になった時の社会を考える~10年後、教師に仕事はあるのか?~(先生の学校「Teacher's School」)

1 はじめに

本記事は、2018年2月25日(日)に開催された、先生(教師)と共に創る双方向型の研修プログラム「Teacher's School」(一般社団法人Teacher's Lab.主催)の内容を編集したものです。

講師は国際バカロレアの候補校、開智望小学校で教務主任をされている野口先生。当日は、野口先生のファシリテートのもと、「10年後の社会・教育」「10年後の職業」について、多様な立場の参加者による熱い議論が交わされました。

*野口先生の年間講座(全12回)のコンテンツ内容を記事末に紹介していますので、合わせてご覧ください。

2 アイスブレイク

自己紹介

ディスカッションの前に、議論に必要な「安心と安全の場」をつくるため、下のシートを使って自己紹介の時間がありました。記入例は野口先生のもので、教室の子どもたちとも楽しく行っているそうです。

参加のきっかけ

その後、野口先生から「今日は何を得たいのかを、全体で把握した上で会を進めたい」という提案があり、参加者から、「今後自分がやりたいことを考える上で、人との繋がりや、情報を得たい」「教育業界の実態と今後の動向の把握、自分の現在地の確認、ステキな出会い」「教師のセカンドキャリアを考えたい」「教育現場の悩みや難しさや希望について語り合いたい」など、様々なコメントがありました。

多様な参加者

参加者の所属も、学校の先生を初め、教員を目指す学生・社会人、教育系企業、NPO、ファイナンシャルプランナー、福祉関係者、地域起こし協力隊など、とても多様な立場の構成でした。

3 ディスカッション

役割分担

場が温まった後にいよいよディスカッションです。まずは、下の役割分担と留意点を確認しました。
(役割)
・ファシリテーター
・タイムキーパー
・メモ
・傾聴

*相手を説得させるため根拠の資料などは調べてOK

(1)2028年どんな社会になっているのか?

1つめのテーマは「2028年の社会と教育」。下の写真にあるトピックについて、グループで「はい」か「いいえ」を合意形成します。どの項目も白黒つけがたいですが、議論を深めるため、あえて答えを出すように話し合われました。

グループの意見

2. これから日本の治安が悪くなる

・(勤務している中学校では)物質的には豊かだが盗難がある

・退屈な日常からスリルを求めているのかもしれない

6. 大卒の価値が下がる

・大学が選抜機能を高め、学生が淘汰されるので、価値が高まると考えられる

・国際的にみて企業の採用は、学歴や取得単位ではなく、「何ができるか」というスキルが基準になるので、「〇〇大学」というブランドとしての価値は下がる

・大学入試改革に高校が対応できるのか

11.2030年までに学校はなくなる

・学校や塾の役割分担が進むのでは

・でも、それだと、経済的な環境が教育差になる

・では、学校で保証するものは何か?→個別化、協同化

・場所を問わない多国籍企業

・学校も場所を問わない方向に進むのではないか

・一方、集団生活の場として残る

(2)2028年の仕事は?教員の仕事はなくなるのか?

2つめのテーマは「2028年の仕事」
「今の子どもが就く仕事」と「今の自分たちの仕事」の2つの視点で議論がなされました。
 自分たちの仕事に関しては、10年後の夢を熱く語る様子もみられました。また、参加された学校の先生は「仕事がなくなったらどうしよう」と、当事者意識を持って話し合っていました。

今の子どもの仕事

・テクノロジーの進歩で今ない仕事をしている子がいる

・一方、家庭環境が変わらなければ、今と同じ仕事をする子もいるだろう

・家庭環境だけでなく、働く大人のモデルの存在の差も大きい

・「働く」「仕事」という言葉の意味が変わる

自分たちの仕事

・勉強を教える仕事は減り、空いた時間で徳教育が増える

・全国の先生のコミュニティ、研修の機会を増やしたい。そのための、ゆとりの時間をつくりたい

・(まだ学生だが)子どもは先生を選べないのに、先生によって授業が異なるのは違和感がある。先生の授業を一般化したい。教育のユニバーサルデザイン

・一般化できるものと、先生や子どもの実態に応じて一般化できないものもある。

・過疎化の地域で教育を通して地域の再生、町作りをする

・保育園をつくる事業を進めている。就学前に子どもの成功体験をたくさんつくりたい

4 野口先生のコメント

ディスカッション4つのポイント

1、総論賛成・各論反対

2、世界観を理解してアプローチを変える

3、ポジションを取る

意見は物事を考える立場によって変わる。例えば、大卒の価値を考えるにしても、自分が大卒なのか否か、また親の立場なら自分の子どもの結婚相手が大卒でなくてもよいと言えるか、など。
 また、自分の立場だけでなく、相手の世界観や大事にしている価値観を理解することで議論が深まる。

4、憧れアプローチ・恐怖アプローチ

人に働きかける際の2つのアプローチ。
憧れは、活躍する大人の動画を見せるなど、自分もそうなりたいと思わせるアプローチ。恐怖は「ーーしないと困るよ」という言い方。相手と場合によって使い分けると効果的。

コンサル業から学校の先生になってビックリしたこと

前職のコンサルでは、会社の課題を分析し、その解決策を出すのが仕事だった。しかし、学校の先生は、保護者に「解決策を伝えてはいけない」と分かった。大事なのは話をきくことだった。最初は戸惑った。

まとめ


(写真は当日スライド)

大事なことは、物事を考える視点、つまりどんな立場で考えるかということ。自分と違った考えや違和感から学びが深まる。

5 講師紹介

野口先生(開智望小学校教務主任)

曾祖父、祖父、父すべて教員の4代目。茨城県守谷にある私立小学校の教員。大学ではデンマークやフィンランドの教育システムを研究。キャリア教育や生涯学習に興味を持つ。

NPOカタリバに参加し、30校以上の高校へ行き、3000人以上の高校生と接する。
大学卒業後コンサルティング会社に入社。人材開発領域のプロジェクトに多数参加。新入社員育成やOJTの仕組み構築などを経験。
その後独立し個人事業主としてネットショップ経営、個人コンサルティングなどを経験。通信教育で小学校教諭一種免許状を取得。

開智学園総合部に勤務後、開智望小学校開校準備室にて業務を行う。現在は開校3年目を迎えた開智望小学校で教務主任をしながら3年生を担当。

学校外では、菊池省三先生や沼田晶弘先生、コーチングセミナーや教員サークルに頻繁に参加。公立の教員の知り合いが多く、積極的に交流を図っている。
趣味は読書で1日1冊は本を読む。累計読破数は4,000冊以上。

開智望小学校 HP開智望小学校 Blog

(参考)IB(国際バカロレア)の学習者像(The IB Learner Profile)

「IBの学習者像」は、「IBの使命」を具体化したもので、「国際的な視野をもつとはどういうことか」という問いに対するIBの答えの中核を担っている。具体的には、IB認定校が価値を置く人間性を、以下10の人物像として表している
* 探究する人
* 知識のある人
* 考える人
* コミュニケーションができる人
* 信念をもつ人
* 心を開く人
* 思いやりのある人
* 挑戦する人
* バランスのとれた人
* 振り返りができる人

文部科学省:国際バカロレアについて

6 Teacher's Schoolについて


(写真はHPより)

Teacher’s Schoolは、下の3つの価値を大切にしながら、学校の先生と共に様々な社会資源を活用し「学びたい先生が主体的に学べる環境」「挑戦したい先生が自分のやりたい事に挑戦できる環境」の創造を目指しています。

Teacher's School 3つの価値
①つくることで学ぶ「生成的な学び」
②ふりかえることで学ぶ「内省的な学び」
③つづけることで学ぶ「継続的な学び」

失敗を気にせず自由に試行錯誤して、自分の想いを「学び」のプログラムにすることができるのが特長です。

詳しくはこちら↓
HP:teacherslabFacebook
Mail:info@teachers-lab.org
HP:Teacher’s School

野口先生、年間講座のお知らせ

全12回(事前カリキュラム2回+12回)のコンテンツ内容を下記にご紹介致します。
(第4日曜日の13:00~15:00)

2/25(日)『今の小学生が大人になった時の社会を考える~10年後、教師に仕事はあるのか?』
3/18(日)『ポスト平成時代に必要な資質・能力=有用価値・内面的価値・社会的価値』
4/29(日)『本物の”主体的な学び”を実践するアクティブラーニング』
5/27(日)『脳みそに汗をかく”対話的な学び”を実践するアクティブラーニング』
6/24(日)『概念的思考で”深い学び”を実践するアクティブラーニング』
7/29(日)『現役教務主任が教える学校の中でアクティブラーニングを実現させるためのリーダーシップ』
8月『目標と評価の一体化~逆向き設計』
9月『単元全体・学期全体・学年全体・小学校全体で探究をデザインするには?』
10月『どうしても主体的にならない子をどうやってサポートするか?』
11月『対話が苦手な子をどうやってサポートするか?』
12月『形式だけのアクティブラーニングを脱して深い学びを実現するには?』
1月 『超実践的シンキングツールの使い方』
2月 『教科融合の仕方:国語×理科×社会の実践例』
3月 『リフレクション~教員としての成長を振り返る・職員室の交渉』

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