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大学生が創る「教育を語る場 〜Edcamp~ 」

1 はじめに

2018年1月21日に東京学芸大学で行われた教育イベント”Edcamp”の運営を行った大学生へのインタビュー記事です。この記事を見た学生が日本全国でEdcampを開催し「教育を語る場」ができれば、日本の教育はいい方向に進んでいくのではないか?そんなことを思いながら記事を執筆しました。

そもそもEdcampとは?

Edcampは、参加する教育の実践者が中心となって、明日からの学校・学びをもっとワクワクさせるために自分たちでテーマを決め、セッションを自分で選択し、様々な立場の人が枠にとらわれず、自由に発言できる、参加者同士がアクティブラーニングできる場です。

どこでどのような意図ではじまったのか

「公的な研修の機会は、面白くない」そんな問題意識を持ったアメリカのフィラデルフィアの先生がこの取り組みをスタートしました。
教育現場の課題は様々で、それぞれの教育関係者が学びたいこと、議論したいことが違っているのに、「かゆいところに手が届く」「すぐに活用できる」ような経験が得られない。
だから、自分が議論したいテーマと同じ問題意識を持った関係者が自然に集まり、学校の先生が、民間企業や保護者、行政など、様々な立場の人とつながり、アイデアをシェアし、意見を交わし、学ぶことができる場をつくりたい。
そうした思いから、

  • いくつものセッションを同時に開催する形態で行う。
  • セッションのテーマは、当日カンファレンスの冒頭に、参加者が案を出し合い決定する。
  • 参加者は多数のセッションの中から、自分の興味のあるテーマのセッションに参加する。
  • セッションは、提案者がファシリテーターとなり、参加者全員が主体的に参加する。

というルールで第一回のカンファレンスが開催されました。
以来、80以上の国と地域で、教育の実践者たちの共感を得て、これまでに1000回以上が開催されてきました。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。

2 主催者の大学生に聞いてみた

Q. Edcampを主催しようと思ったきっかけは?

(インタビューに答える主催者の松下さん)

きっかけは、鎌倉で行われたEdcampに参加したことでした。実際に参加することで、『教育』に興味を持つ様々な立場の人が活発にお互いの意見をシェアしているところに非常に魅力を感じました。それと、これを言ったらアレですけど、参加者が一緒に創っていくイベントなので、企画側がすごく楽そうだと思い開催を決めました。

Q. ではなぜ東京学芸大学で開催したの?

4年間通ってきた東京学芸大学(以下、学芸大)への問題意識があったからです。学芸大学の卒業生は6割が教員になるのですが、教員になるのは「その道しか選択肢がないから」という学生や、「教員になることが目的」になっている学生が多いように感じていました。大学3年生まで普通に授業を受けてきて、教育実習に行きやっと自分の将来のことを本気で考えるという学生も多いのです。そんな学芸大が、より地域や社会にひらかれた場所になり、学生がたくさんのかっこいい大人と出逢えたら…。大学生がもっともっと自分のことを見つめる時間をつくることができ、自分の実現したい夢をもって教員になったら…。そうすればきっと「教育」というものに何かHAPPYな変化が起きるのではないかと思い、学芸大での開催を決めました。

Q. 学生が主催者となることのメリットは?

正直言って学芸大はかなり閉鎖的な大学なのですが、学芸大生が運営に関わることによって様々な外部の人と関わることが出来ます。加えて、自分たちでイベントを主催することで、成功体験が出来ることが一番のメリットだと思います。最初は友達を通じて「巻き込まれる」感じで関わった学生も、できるだけ自由に運営に関わってもらう形が、お互いにメリットがあるように感じました。
それから、学生主催ということで、大学のイベントとは印象がかなり違ったようにも感じました。大学主催だと「堅苦しそう」「意識高そう」と思われがちなところですが、学生が運営していることを発信することによって、より多くの人に「面白そうだな」と受け取ってもらえたと思います。
あとは、何と言っても大学を会場にできるということです。大学を借りるのは学生にとっては本当に簡単なことなので、ぜひ大学を使い倒すことをオススメします。

Q. 200人以上の人をどうやって集めた?

当初はこんなに集まると思っていなかったのですが、Facebook中心にどんどん情報が広がり、参加者もどんどん増えていきました。1人がシェアやいいね!をすることによって情報がかなり拡散されました。一方で外部の人だけではなく、学芸大生にも参加してもらうことが目的だったので、ツイッターアカウントでの拡散や、学内掲示板に案内を貼って広報を行いました。

Q. Facebook活用のポイントは?

イベントページ上で参加予定とするだけではなく、GoogleFormにも記入してもらい、きちんと参加の意思確認が出来るようにしました。それからFacebookページに定期的に準備の様子を投稿することによってドタキャンしてしまう人を減らせたとも思います。効果的だったのは、イベントページ上で「興味あり」としている人に一斉に直接メッセージを送ったことですかね。自身のタイムラインでも、イベントページをコメントつきでシェアしていました。

Q. 資金はどうやって集めましたか?

会場を無料で借りられたので、開催にそこまで多くの資金は必要ありませんでした。Edcamp事務局に言えば、ペンとネームカードという必要最低限のものは借りることができます。さらにイベントに50人以上集まれば事務局から1万円資金援助をして頂けます。ただし、模造紙や付箋など必要な物品はあったので、Facebookでサポーター募集をしました。その結果として、模造紙やお茶などを寄贈していただくことが出来ました。

Q. 一番大変だったことは?

運営メンバーとのイメージの共有です。今回の運営メンバー15人のうち、Edcampに参加したことがある人はわずか2名でした。そのため、そもそもEdcampがどういったイベントかイメージがつかみにくかったのではないかなと思います。でもそこがまたよかったところで、これまでのEdcampの型に縛られないやり方をみんなが考えてくれたので、結果的にプラスな状況を生み出してくれました。

Q. 壁展示はなぜ作成したのですか?

運営のメンバーがやりたいと言ってくれたからです。今回メンバーはみんな基本的に自分のやりたいことしかやっていません。壁掲示をやりたい!と言ってくれた子のうち一人は、「外部の人がたくさん来るなら学芸大の魅力を知って欲しい!」という想いで企画してくれました。もうひとりは、「Edcampに、教育を受ける側である子どもの声こそ必要だと思う!」という想いから実際に小学校に行き、子どもたちにメッセージをもらったものを掲示するなど、運営メンバーの「やりたい」の気持ちが形になったものが今回の壁掲示です。

3 運営をしてみて思うこと


(運営に関わった学芸大生のもいさんとぴかさん)

運営側ではありましたが、運営をあまりしない運営者でいられるように心がけていました。企画内容をあえてフワッとさせて、あとはノリで回していました。そうすることによって、参加者がより自由に主体的にイベントに関わってくれたと思います。

Q. こうすれば良かったと思うことは?

もちろん、悔しい部分もあり、ここをこうしていればより有意義な時間になったと思うことはあります。例えばアイスブレイクの時間で、予定していたことが機材の関係で出来なかったので、急遽違うことをやったのですが、もっと工夫をすることが出来たと感じます。そうした危機管理の部分はしっかりやっておくべきだったと思います。

Q. これから主催しようとしている人へアドバイス

色々なことが後手にならないためにも、最初に、「運営側の仲間意識を固めるべき」だと思います。はじめにベクトルを合わせておくことで、やりやすさは全然違うと思います。そして、なんといってもやりたい人はまずEdcampに行ってみることをオススメします。

4 企画から開催までのスケジュール

タイムライン

10月

  • イベント開催を決める
  • Facebookイベントページ開設
  • (とりあえずやることだけを告知)
  • twitterアカウント開設

11月

  • 会場の予約をする
  • コアメンバーと顔合わせ
  • Facebookで直接メッセージを送る

12月

  • EdcampJapan事務局にコンタクト(当日使用するネームカード・ペンを借りる)
  • 壁展示の案だしと作成
  • Facebookでメッセージを送る
  • テレビや新聞社に取材依頼の電話やメッセージ

1月

  • 当日必要な物品の買い出し
  • イベント開催

5 開催チェックリスト

最重要

  • Facebookイベントページの作成
  • Googleformの作成
  • 運営メンバーの募集
  • 会場のセッティング
  • Edcamp事務局へコンタクト

重要

  • 資金等のサポーターを募集
  • ポスターの作成と掲示
  • 直接メッセージを送る

6 イベントへの想い

カッチリと色々なことを決めて段取りをとって開催したわけでは無いので、ふざけた開催の仕方かもしれないですが、だからこそEdcampの大切なモットーである「参加者と一緒につくる」ことが出来たのだと思います。教員ではない学生という立場の人が主催することによって、イベントにプラスの影響を与えることが出来たと思います。時間もエネルギーがある大学生こそぜひイベントを主催して欲しいです。

7 リンク

Edcamp Japan ホームページ
こちらではより具体的な開催方法なども紹介されています。

関連書籍『The Edcamp Model: Powering Up Professional Learning 』

8 編集後記

人と人の出会いは本当に面白く魅力的です。私自身もEdcampに参加し様々な人に出会うことによって今まで考えもしないかった「気づき」を手に入れることができました。たった1日のイベントだけでは、社会に向けて大きなインパクトを与えることはおそらく出来ません。ただしその日出会ったメンバーがどこかで新しい取り組みを企画したり、自分の周りの人に学びを還元したりすることによってそのインパクトは何十倍にも何百倍にもなるのではないでしょうか?日本の大学生中心にEdcampを主催するムーブメントが広まっていくことを心から願います。(EDUPEDIA編集部 石川 瑛士)

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