EDUPEDIA for STUDENT

twitterfacebook

「子どもの成長に寄り添えることが嬉しかった。」幸田新一さんインタビュー(前編)(Teach for Japan)

1 はじめに

Teach For Japan(TFJ)とは、すべての子どもがその子にとって素晴らしい教育を受けられる社会の実現を目指しているNPO法人です。多様な経験を持ち、教育への情熱を兼ね備えたフェロー(教師)を公立学校へ送る「フェローシップ・プログラム」を展開しています。こちらの記事はフェローの方の体験談をまとめたものです。

また、こちらの記事の一部はWEBやフライヤーに掲載されたものを編集したものです。

2 フェローの紹介

幸田新一さん

東京都公立義務教育学校教諭。広島県生まれ。早稲田大学法学部卒業後、学校法人専門のコンサルティング企業に勤務し、生徒募集、カリキュラム設計、教員研修、新規開校等の支援を担当する。2015年4月よりTeach For Japanフェロー3期生として奈良県の公立小学校に赴任。2年間のフェローシップ・プログラム期間を終えた後、現職に至る。プログラム期間中に長女が生まれ、現在二児の父でもある。(2017年8月2日時点)

3 フェローになるまでの経緯

学校の役割を意識したきっかけ

私は広島県で生まれ、19歳まで地元で過ごしました。小学校までは公立だったのですが、中学・高校は私立の男子校へ進学しました。大学へ進学する前に1年間浪人生活をして、それから大学進学のため東京へ行きました。両親が中学一年生のときに離婚し、中高のときは生活が色々と変化しました。

そうした家庭内の変化があり、当時は「自分は必要とされていないのではないか?」と思うことがありました。しかし、学校に来てみると励ましてくれる友達がいたり、いつも通りに接してくれる先生がいて、私にとっては学校が社会とのつながりの場でした。教育に関わりたいと思ったルーツはそういうところにあります。こうした自身の経験から、学校は「子どもが社会とつながる場」であってほしいと思っています。そうした役割を果たしてくれる場であるといいなと思います。あとは両親ともに先生だったことも影響しているかもしれません。ただ、就職活動する際は第三者的な立場から教育現場を支援することに関心があったので、教師ではないかたちで教育業界に関わりたいと思っていました。

TFJのフェローにエントリーしたきっかけ

もう一つの理由は前職で学校の先生たちと関わるなかでの考え方の変化でした。前職では、先生たちを通して、間接的に子どもに関わっていました。そこにやりがいも感じていましたが、一方で、先生は子どもたちのために情熱を持って頑張っている姿を見て、「かっこいいなあ」と思いました。そして、間接的ではなく、直接子どもたちの成長に関われる仕事をしたいと考えがシフトしていき、私立学校の支援から公立学校の先生を目指すようになり、フェローにエントリーしました。

フェローエントリーにあたっての不安

先輩フェローが赴任した学校の話を聞くと、様々な課題や背景を知りました。果たして自分に務まるのだろうかと思いましたし、自分が学校へ赴任したところでどれだけの貢献ができるのかという不安がありました。赴任前のその不安は解消できませんでした。そのため、不安を持っている自分をしっかりと受け止めて、なるべく赴任前にしっかりと準備をしました。

研修について

SI(スプリング インスティチュートの略。赴任前研修のこと)では、色々な知識をインプットしながら、自分のビジョンをつくっていき、どのように子どもに関わるかをじっくり考えました。このときに自分自身の信念が強くなったので、不安もあったのですが、「やってやる」という気持ちのほうが強くなりました。その際につくったビジョンは「人を大切にする人を育てる」というもので、それは今も変わっていません。

4 赴任期間中について

一番辛かったことは何ですか?

小学校の現場に行った当初は担任ではなく、学校の中で支援が必要な子どもたちを担任の先生と協力してサポートしていくという「児童支援」という立場でした。私が主に関わった子どもたちは、時には友達に対して上手く関わることができず、暴力をふるってしまったり、挫折を感じていたりしました。赴任してすぐは、私がそのような子の思いを受け止めきれませんでした。子どもに挫折をさせてしまっているというのが辛かったです。

そのような子どもの行動はどのように改善していったのですか?

担任ではなく、そうした子どもたちと濃密に関わることができるポジションだったため、さまざまな関わりがありました。カッとなってしまった時の心の落ち着け方や、友達とうまく関わるための声のかけ方を一緒になって考えて試したり、毎日一日が終わった後に、子どもと一緒にその日にあったことの振り返りをしたりしました。「こういうことを頑張れたよね」などを振り返り、本人がうまくできたということを一緒になって喜びました。そのように、成功体験、達成感を醸成しながら、その子たちの成長に寄り添えたのは嬉しかったです。もちろんすべてのことがすぐに良くなるわけではありませんが、本人が自分の成長を感じているのを見たときはとても嬉しかったです。

特にやりがいを感じられたことはありましたか?

赴任期間の最後の2か月間、前任の担任の先生が退職されてしまって急遽5年生の担任をもちました。その2か月間は大変でしたが、それまでできなかったことに挑戦できたという意味でとてもやりがいを感じました。

担任を持たれて大変だった事はどのようなことですか?

「担任はやっぱり忙しい!」と感じました(笑)

30人以上の子どもが教室にいるなかで、それぞれ考えていることも全然違う。そこで、子どもたちはどのようにそれぞれの個性を活かし、時にはお互いの気持ちがぶつかりあうことにどう折り合いをつけていくのかを考え、教室の中で、自分たちで課題を解決できるようになることを目指しました。どのように問いかければ子どもたちが主体的に考えて、行動できるようになっていくのかを毎日考えながらやっていました。

教室内での印象に残っているエピソードを教えて頂けますか?

5年生の天気の単元の時に、福岡に赴任しているフェローとスカイプをつないで授業をしました。西から東に天気が変わるということを、福岡と奈良の天気の違いで実感してもらい、「福岡と奈良の天気は違うよね。同じ日本でもこれだけ天気が違うんだよ。」と、地域の違いを実際に確認する授業を出来たのは良かったと思います。

福岡の天気がスカイプで画面に映った瞬間に、子どもたちから「おぉー!!」と歓声があがりました。「本当に天気が違う!」という子どもの声から、子どもたちが実際に体験することでわかる瞬間をみて、私自身も感動しました。

後編はこちら

人気記事

新着記事

アクセスランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10