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合理的配慮の実践方法について【Edcamp Tokyoレポート】

1 概要

この記事は、平成29年1月15日に行われたEdcamp Tokyoで行われたセッションを基にした記事です。「合理的配慮」について、多様な立場の参加者が考える問題意識や解決に向けたアイデアを紹介します。Edcamp自体の説明は本記事の後半にあります。

2 参加者の問題意識

セッションの冒頭に参加者の問題意識を述べあいました。
合理的配慮のあり方や現状の問題点と解決への道筋など、参加者の方の具体的な問題意識は次の通りです。

・情緒障がい発達障がい・学習障がいを持つ生徒の支援をしている。障害者差別解消法の成立28年4月から施行を受けて、今後どのような実践がされているのかに関心がある。通常学級の先生にどのように知識・経験を伝えていくか現状知識のない教員はどのような情報がほしいか。【教員】
・情緒障がいの学生の支援について、小・中・高の接続がうまくできていないという問題意識を抱いている。【研究者】
・教員志望の身ではあるが、教職課程におけるinclusive教育についての指導は、基本的に「耳を傾ける」のみ。もっと実践的な知識を学びたい。【学生】
・合理的配慮に関して予備知識があるわけでないがどのような人間像をベースに教育が設計されているのかに関心がある。例えば、教育外の分野では合理的に動かない人間像をベースに制度設計をするケースが増えているが、教育現場はやや出遅れているのではないか多様な人間像を包摂するような設計になっていない。また、一般社会でも注意力散漫な人に出会うが、教育の場の外ではどう接するべきか。【塾講師】

3 問題の所在・課題

次に、各参加者の考える現状の問題の所在や課題について議論しました。
・東京都は小中高の教育を接続するための制度自体は備えているが、現場の実践レベルまでは具体化されておらず、高校での対応が特に困難。発達障がいの疑いが強い高校生が増加する中、制度的な受け皿が特別支援学校しかない。多くの生徒は全日制や定時制に通い、なじむのが難しくなっている。
・教職課程のカリキュラムの不備。情緒障がいの生徒に関する理解が及んでいないため、問題行動を起こす生徒が悪いという結論になってしまう。

4 解決方法・アイディア

次に、いくつかの観点から解決方法やアイディアを出し合いました。

塾をはじめとする学校外部のノウハウを活用

・塾はもともと「進学用」だったが、この10年で学習についていけなくなった生徒向けの「個別指導」のマーケットが顕著に成長。ノウハウも蓄積している。
・学校の先生以外を教育現場に入れていくことで様々な経験知が共有され、合理的配慮に近づいて行くのでは
・先進的な私学では、資金・人材の面でOBOGを活用して個別指導を充実させている

行政から資金を獲得

・僻地で行政が塾を作るプロジェクトが成功している。「地方創生」分野から予算を引っ張ってくることができるのではないか。

教職課程のカリキュラムの改善

・現状、情緒障がいにつき、理論だけの形式的な理解にとどまっているQーU法学級集団をアセスメントし、より適切な支援をするための補助ツールの使用を通じて「異常」を検知するなど。QーUは生徒が正しく答えることを前提にしているなど、問題も多い。
・教師は専科教育から学校マネジメントまで、全てを管理できるようにという観点で、ジェネラリストとして教育される。専門性を深めることができない。本来は、どういう学校に行くかによって求められる能力も違うはず進学校では専科の知識、問題校では仕事のほとんどが生徒指導・マネジメント

「あるべき」教育の柔軟化

・現状の学校教育の前提は、40人の生徒の集団を管理して画一的な内容を教えること。ここを柔軟化できないか
・学習指導要領にどこまで盲目的に従う必要があるか
・学校と生徒のミスマッチはどうしても生じるので、入学後にやめることへのスティグマ偏見を減らす現在は盲目的に退学率を減らす方針になっており、多様性を認める方向と逆行

生徒の選択肢を増やす。進路指導の改善。

・親の意向で全日制の学校に入ってくる子が多いが、本人にとってよいことなのか今の時代であれば、インターネットを活用して知識を得ることもできる。
・そもそも地方では特別学級を備えた学校の選択肢が少ない。その他のオプションとして、全日制だけでなくて通信やフリースクールなどの選択肢もあるということを中学校の進路相談で情報提供したり、塾の先生に進路指導を手伝ってもらうことで改善するのではないか。

教員のサポート

・現状、教員への負担が大きい。知識がない中で手探りになっている。教員間の経験共有を促すことで、生徒を多面的に評価することが合理的配慮の第一歩になりうるのでは。
・学校のマネジメントを担いたい層が薄く、全体に目配りできる人材が不足。東京都では副校長のなり手が足りない。
・先生自身も生徒について把握できていないし自信がない。セカンドオピニオンが必要なのではないか例えば、学校側が「生徒の基礎的な能力が低い」と過小 評価しているがそうでもないケースが散見される。  

5 セッションでの学び

セッションの最後に、振り返りとまとめを行いました。

参加者の協働作業により得た「Big Idea」

・進路を途中で変えられる選択肢を残す選択肢の多様化
・外部の知見の活用
・制度設計は集合知で、個人への対応は個別・柔軟に
・教職課程の学生の問題意識を涵養する場を設ける
・個別指導が重要である中で画一的な公的教育の存在意義

数日の間に、やろうと思うことは何ですか

・学生の立場から、地元地方に専門家を呼んで問題意識を生むための取り組みを進める。地方の活性化のために都会の専門家を地方に巻き込む。
・合理的配慮について思索を深める

中長期的に達成したいと思うこと教育実践

・学校と連携したフリースクールを作る現状小学校は可能
・塾を作る

6 Edcampとは?

Edcampは、参加する教育の実践者が中心となって、明日からの学校・学びをもっとワクワクさせるために自分たちでテーマを決め、セッションを自分で選択し、様々な立場の人が枠にとらわれず、自由に発言できる、参加者同士がアクティブラーニングできる場です。
Edcampの動画(英語版)はこちらです。

どこでどのような意図ではじまったのか

「公的な研修の機会は、面白くない」そんな問題意識を持ったアメリカのフィラデルフィアの先生がこの取り組みをスタートしました。

教育現場の課題は様々で、それぞれの教育関係者が学びたいこと、議論したいことが違っているのに、「かゆいところに手が届く」「すぐに活用できる」ような経験が得られない。
だから、自分が議論したいテーマと同じ問題意識を持った関係者が自然に集まり、学校の先生が、民間企業や保護者、行政など、様々な立場の人とつながり、アイデアをシェアし、意見を交わし、学ぶことができる場をつくりたい。

そうした思いから、
・ いくつものセッションを同時に開催する形態で行う。
・ セッションのテーマは、当日カンファレンスの冒頭に、参加者が案を出し合い決定する。
・ 参加者は多数のセッションの中から、自分の興味のあるテーマのセッションに参加すうる。
・ セッションは、提案者がファシリテーターとなり、参加者全員が主体的に参加する。
というルールで第一回のカンファレンスが開催されました。

以来、80以上の国と地域で、教育の実践者たちの共感を得て、これまでに1000回以上が開催されてきました。

日本ではじまった経緯

日本では、2015年以来インターナショナルスクールの先生を中心に英語で行われていましたが、2016年9月、鎌倉で日本語で初のEdcampの試みが行われました。
それを受け、日本でのEdcampの広がりを目指し、2017年1月15日に東京御茶ノ水のデジタルハリウッド大学にてEdcampTokyoが開催されました。

当日の様子

当日は、学校の教師や学生、教育に関心のある多業種・多業界122名が参加し、合計26のセッションテーマについて熱い議論が交わされました。

参加者構成

参加者総数は122名でした。約55%が教員で学校種は様々でした。小中学校教員は公立が多く、高校教員は公私立が同程度、幼稚園や大学、専門学校等の教員は私立が多かったです。
教員以外では、学校職員や教育系企業、非営利団体からが多くを占め、学生や教育行政関係者の参加もあり、様々な立場で教育に関わる者が集いました。

今後のEdcamp開催情報

【Edcamp横浜(終了)】http://peatix.com/event/275207?lang=ja
2010 年にフィラデルフィアで第1回が開催されて以来、80 以上の国と地域で、1000 回以上開催されてきた、教育関係者のためのカンファレンス・Edcampを横浜で初開催します。

公立・私立学校の教員をはじめ、教育に関心のある多業種・多業界の参加者を募り、Edcamp独自の手法※を用いながら、教育現場の課題解決のアイデアや知識を共有することを目的としております。Edcamp Yokohama実行委員会は、教育の先進事例が数多い横浜の地で多くの教育関係者が連携し、新たな教育の創出を目指していきます。ぜひご参加ください。

※最新の情報はこちらをご覧ください。
http://www.edcampjapan.org/#participate

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