教師にとっての部活動の意義

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授業や学級担任と同じくらいの意味を持つのが部活動の顧問

中学校・高校の生徒にとって、部活動に入るか入らないか、どのような部活動に入るかは、学校生活を大きく左右する要素だ。そしてこれは、教師にとっても同じこと。教師の数ある仕事の中で、部活動の顧問は日々の仕事や週末の過ごし方に大きく関わるので、授業や学級担任としての仕事に次いで、あるいはそれらと並ぶほどの大きな意味を持っている。

実際、若手のうちはほとんどの場合、どこかの部活動の顧問を任せられると言ってよいだろう。自分自身がこれまでまったく経験のない部活動の顧問を任されることも珍しくないし、必ずしも希望した部活動の顧問ができるとも限らない。それでも、その部活動をやりたいという生徒が目の前にいる限りは、できるだけのことをしようと努力することが欠かせない。

経験があればある程度指導のイメージがつくものだが、そうでない場合は、具体的には、他校の教師に指導法について学ばせてもらったり、自分で本を読んで勉強をする、あるいは、生徒と一緒になって練習メニューを考えたりすることになる。最初は「経験のない先生なんて」という態度を取る生徒もいるかもしれない。正直、経験がないには事実なので、受け入れるしかない部分もある。しかし、生徒は教師のことをきちんと見ているものなので、教師が真剣に学ぶ姿勢を見せていれば、いずれは生徒に信頼してもらえるようになるし、教師の方でも知識が身につくので徐々に指導できるようになる。

また、自分が経験のある種目であっても、だからといって必ずうまくいくとは限らない。自分が良いと信じているやり方を生徒に押し付けてしまって、かえって良くないということもあるからだ。そのため、実は自分の経験の有無が重要というよりは、目の前の生徒のためにどのようにすればよいかを最優先に考えて、できること・やるべきことをやるのが、部活動の顧問として教師に必要なことだ。

顧問といっても、さまざまなタイプ・方針がある

部活動の顧問にはいろいろなタイプ・いろいろな方針がある。自ら運動着に着替えたり楽器を手にしたりして生徒を積極的に引っ張っていく教師もいれば、自主性を尊重して練習内容は生徒に決めさせて、顧問はそれを確認・助言するのみという教師もいる。活動についても、毎日のように部活動を行うのが当然と考える教師もいれば、適度に休みを取るべきだと考える教師も、むしろ週に数回の活動でよいと考える教師もいる。

これらについて、どれが正しいということはない。基本的に、どのように部活動を運営していくかは顧問となった教師に委ねられている。これが自分のやり方だ」と強い信念に基づいて部活動を運営していく教師もいるが、多くの教師にとっては、自分の気持ちだけで活動や指導の方針を決めることが難しいのが実態で、考慮すべきいくつかの要素があるのは確かだ。

実際、所属する生徒の気質や、部活動に求めているもの、さらには保護者の期待値やこれまでその部活動が伝統としてきたものなどは、教師が運営方針を決める上で重要な要素だ。現実的には、顧問になったら、まずはそれらを踏まえた運営方針で臨んで、反応を峰柄徐々に自分が思うような活動方針にしていくのがよいかもしれない。

どのような活動方針であれ、部活動の顧問には、生徒が部活動を通して人間的な成長を図れるように指導することが求められていることは変わらない。その意味で、部活動にも、学級経営や授業と同じように、教師としての指導方針が必要になる。生徒のやる気を引き出し、自信と責任を持って活動ができるよう、 教師はある時は陰から、またある時は表立って、生徒にさまざまなサポートを行う。部内の人間関係に常に気を配り、必要とあらば時間をとって話を聞いたり、部員同士で話をさせたりすることも必要だ。

負担が大きいのは確か。ただ、それ以上のやりがいも

中学校も高校も、平日の放課後はもちろんのこと、学校や部によっては早朝や昼休みに練習を行うこともある。これらはすべて、教師の監督のもとで行うのが原則だ。加えて、土日や夏休みに指導のために学校へ出てくるのも珍しいことではない。そのため、部活動の顧問をすることが教師にとって負担になることは確かだし、近年はその負担があまりに大きすぎるのではないかと指摘されていることも事実。

ただ、生徒と一緒に運動や文化的活動を楽しみ、部活動を通して、授業や行事などでは見られない生徒の姿に立ち会えるのは大きな魅力。 そのため、多少の負担は厭わずに、顧問の仕事に自発的に熱心に取り組んでいる教師が少なくないこともまた事実だ。

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