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教育実習に行く前に

約1か月間の教育実習。たくさんの同期生達と、大学の附属小・中学校へわいわい行く場合もあれば、自分の母校などに一人でドキドキしながら行く場合もあるでしょう。せっかく行くのなら、この期間を充実した有意義なものにしていただきたい、また現場の先生方のことも少し知って欲しい、そう思ってこの記事を書くことにしました。
 私自身は実習生を持った経験はないのですが、担当した先生と話をしたり、実際に授業や学級指導を参観したりして思ったことを書いてみます。

1.時間と約束は守ろう

「時間を守る」「約束を守る」…当たり前のことなんですが、実習生を引き受けた先生が一番グチっているのがここです。他のことは何かあっても苦笑しながら話している先生方が、時間と約束に関しては怒り顔になります。「実習生として以前に、人としてどうなの」ってことでしょうね。でも、小さい頃から言われてできるようになっているはずなのになぜつまずくのか?具体例で見てみましょう。

【事例1−1】
「実習生のA先生がまだ来てないの。そろそろ始業時刻なんだけど…」
「B先生、今A先生から電話があって、熱が出たので今日は休むそうです」
「え~っ?今頃連絡してきたの?」

【事例1−2】
「実習生のA先生がまだ来てないの。そろそろ始業時刻なんだけど…」
「B先生、今学校宛のメール見たらA先生からのメールがあって、
 熱が出たので今日は休むそうです」
「え~っ?メールで連絡してきたの?」

(解説)
1−1:授業を受ける側なら、始業までに欠席の連絡をすれば良いのでしょうが、授業をする側なので、始業までにA先生が欠席した分の補充や振り替えを計画しなければなりません。A先生が担当するはずだった授業をB先生が代わりに進めるために準備をしなければならないでしょうし、A先生が参観に行くはずだった授業の先生に断りを入れたりすることもあるでしょう。その分の時間も見込んで、できるだけ早く連絡した方がいいですね。

1−2:メールは受信者がそれをいつ読むかが分かりません。忙しい中で全く読まないことも考えられます。欠席の連絡など、「相手にすぐに・確実に伝わらなければならない連絡」の手段としてメールを使うのはやめましょう。

一般に、教員が欠勤する時には、自分が休んだ分の授業をどう補充するか(自習計画等)も合わせて連絡します。それを聞いて、例えば隣の学級と一緒に授業をしてもらったり、時間の都合が付く先生に教室に入って指示していただいたりするわけです。自分が休むことで周りがどんな影響を受けるかを考えて動くようにしましょう。

【事例2】
隣の席で頭を抱えている、実習生指導担当のB先生。
「B先生、どうしたんですか?」
「見て、これ」
と渡されたA先生の実習日誌は、ここ数日が真っ白。
「最近、査定授業の準備とか指導案の修正なんかが忙しくて私もうっかりしてたのよね。

2,3日声をかけてなかったらこの有様よ。もう実習も終わるのに…。
今夜一晩で全部書かせたとしても、明日私はそれを全部読んで
一日ずつ赤ペン入れなきゃいけないわけでしょ。
で、A先生がこれ今夜一晩で書けると思う?…(-"-;)」

(解説)
実習を引き受けて下さる学級の先生は、実習生のお世話以外に学級の仕事や校務の仕事が山盛りです。実習日誌の記入、指導案の提出など、既に決まっていることについては、いちいち声をかけられなくても自分から先回りして記入・提出しましょう。

ただ、後述しますが、締め切りなどについて現場の先生方は自分達の物差しでけっこうアバウトな言葉遣いをしがちです。「明日の朝出して」「もう少し後でいいよ」など。何日の何時かをきちんと確かめて、メモしておきましょう。私の場合、「明日の朝イチでこの仕事しようね」と約束して始業1時間くらい前から待っていたら、約束したはずの相手は始業ぎりぎりに学校に来て「仕事に備えて朝ごはんをしっかり食べてきました!さあ始めましょう」なんてこともありました。

2.子ども「全員」と関わろう

実習が始まる前に、入る学級の名簿を見て子どもの名前を覚えましょう。個人情報保護の観点から名簿をもらったり家に持って帰ったりできない場合もあると思いますので、その時は校内でがんばって覚えましょう。最近は難しい漢字や読み方の子が多いので、読み方も担任の先生にきちんと確認しましょう。名簿順に覚える必要はないと思います。何という名前の子が在籍しているのか、名字を聞いたら下の名前が出てくるくらいには覚えて下さい。

子ども達は実習生の先生方が大好きです。教室に入るとすぐに寄ってきてにこにこ話しかけたり、休み時間は一緒に遊ぼうと誘ったりしてくれます。でも、あなたは「先生」です。「寄ってくる子」がいるということは、「寄ってこない子がいる」ということに気付かなければなりません。「話しかけてくる子がいる」ということは「話しかけてこない子がいる」ということに気付かなければなりません。その視点は授業にも生かすことができます。

子どもが学校にいる間はできるだけ子どもと一緒にいて、全員の子どもと一日に一回ずつは関わりましょう。できたら、子どもが帰ってから、その日関わった子どもの名前を日誌の端にでも書いてみましょう。はじめのうちは、顔は覚えてるのに名前が分からない子もいるかもしれません。でも日を追う毎に増えてきますよ。何人書けるかな?

3.言葉の使い方に気をつけよう

(1)学生の方はなぜか和語より漢語を使うのが好きですね。「整列して下さい」「プリントを配布します」「終了したら再度確認して下さい」→「並んで下さい」「プリントを配ります」「終わったらもう一度確かめて下さい」と言い換えると分かり易いですね。指導案の中にも漢語がいっぱいです。せめて発問は子どもに分かる易しい言葉を使いましょう。

(2)学生の方はなぜか抽象的な言葉を使うのが好きですね。「きちんと座りましょう」「ちゃんと並んでね」「がんばりましょう」…って、具体的にどうすることでしょう?担任の先生がどんな言葉を使って子ども達を指導しているか観察してみるといいですね。

(3)子どもをニックネームで呼んだり、呼び捨てにしたり、命令口調で話をしたりするのはやめましょう。あなたは「先生」であって、友達や親ではありません。また、ニックネームなどがある程度許されている学級でも、子どもによって対応を変えることのないようにしましょう。

4.字をきれいにていねいに書こう

自分が学生の時には、ノートに急いで雑な字を書いたり、続けて書いたりしているかもしれません。でも、子ども達にとって「先生」の字は憧れでありお手本です。あなたが続けて書いた雑な字でも「かっこいい」と思って真似しようとします。最近はパソコンやスマホなどの普及で、字を書く機会が減ってきているとは思いますが、黒板やノートに書く字は丁寧に書くことを心がけましょう。自分の字に自信がなくてもいいんです。字を丁寧に書こうとする姿が子どものお手本になります。実習日誌の字も癖の強い字では指導の先生方をがっかりさせるかもしれません。下手でもいいから基本に則って丁寧に書きましょう。

最近は黒板の字の書き方を教えている大学もあるそうですね。黒板の字は小学校1・2年なら1文字が12cm四方のますいっぱいになるくらいに大きく書きましょう。3・4年なら10cm四方、5・6年なら8cm四方といったところです。学校によって、何をどこに何色のチョークで書くか決まっている場合もあるので、板書計画は指導案とは別の紙に直筆で大きく書いて事前にチェックしてもらっておくといいですよ。(本当は書きながら見てもらうとペンの持ち方や筆順のチェックもできていいんですが(^^ゞ)あまり黒板に慣れていない場合は、チョークの持ち方も練習しておきましょう。鉛筆と同じように持つとポキポキ折れてしまいます。

5.子ども達とは在校時間内で遊ぼう

子ども達と仲良くなって、休みの日に遊びに行くとか、メール交換をするとか、学校外で子ども達との交流を深めたいと思うこともあると思いますが、原則として学校外での活動はしないようにしましょう。どうしてもという時には実習担当の先生に相談してみましょう。以下に書いてある課題を解決するいい方法が見つかるかもしれません。その場合でも、子ども達全員に同じように接することに配慮しましょう。

(1)休日に一緒に遊ばない:子どもが怪我をしたりした時、実習生は責任を持てる立場にありません。休み時間なら担任の先生が病院に連れて行ったり、親に連絡したりスムーズにできますし、在校時間の事故だけ適用される保険もあります。

(2)子どもにメールアドレスや住所・電話番号などを教えない:交流が始まると、子どものメールアドレスや住所・電話番号などの個人情報を知ることになってしまいます。子どもの個人情報を知っている・子どもとの連絡手段を持っているということが、実習終了後に問題になる場合があります。

いろいろな場合が考えられますが、例えば、子どもが実習生との電話やメールのやりとりに夢中になって勉強がおろそかになってしまうなど、生徒指導的な問題も起きる可能性がありますし、最近は情報機器の発達が著しいので、実習生のスマホからウィルス系のアプリなどによってメールアドレスを抜かれ、スパムメールやウィルスが子どものメールに送信されてしまうといったことも起きるかもしれません。実習が済んでから担当の先生にご迷惑をおかけすることのないよう、偶然に出会う以外で子どもとの個人的な交流は控えましょう。

(3)子どもにプレゼントをしない:これは次の実習生が困りますね。「実習の先生が○○をくれた」という話は子ども達の中ですぐに広まります。次の実習生が子ども達にプレゼントをねだられ、断ると悪口を言われるなんてことも考えられます。子ども達に何か渡したいというのでしたら、全員にお手紙を書くのが一番だと思います。

6.分かることも事前に確かめよう

先生方は良く「分からないことは何でも聞いてね」と言いますが、おそらくそれでは何も聞かずに終わってしまうことでしょう。だって、実習生の皆さんは、自分では分かっているつもりなんですから。あとで困ったことになるのは、分からなかったからではなく、間違った理解をしていたから。先生方と実習生の皆さんとの「認識のずれ」のせいです。

それを防ぐために、「分かっていることも事前に一度以上確かめておく」ようにしましょう。尋ねる時には、できるだけ具体的な数値・具体物を使って、勘違いをなくしましょう。前述しましたが、先生方は日頃の経験から、先生方だけに通じる大まかな言い方で話をする事が多いので…(^^ゞ

例えば、
「○日の査定授業の指導案は他の先生にも配らないといけないから、指導案が書けたら事前に私に見せてね」と言われて「はい、わかりました」で終わっちゃうと、あとで大変な目に遭います。いくつ質問(確認)しますか?

「査定授業は○月○日ですね。何校時目にするかは決まっているんですか」

「指導案は何人の先生に配るんですか。いつまでに配ればいいですか」

「指導案は私が印刷して配るんですよね。あのプリンタで印刷したらいいですか」

「指導案はいつ見ていただけますか」

「板書計画と発問計画も指導案と同じ日でいいですか」

ざっと考えてこのくらい。その上で、指導案を半分くらい書いた所でかまわないので、言われた日より2日くらい前に「こんな感じで書いてるんですがどうでしょうか」と見せておくといいです。お互いしっかり情報交換して話し合ったつもりだったのに「え~っ?こんな書き方してたの?」ということが結構あるからです。ぎりぎりに発覚すると辛いですよ。

もう一つ。子ども達は「自分が受け取った通り」が真実と考えて話をしますので、特に、学級のルールなどが分からない時、数名の子に聞いただけでそれを正しいと思わないようにしましょう。

よくあるのは「休み時間って何時何分まで?」「10時55分までだよ」「そうだよ」と子ども達に言われて、安心して55分まで遊んでから戻ると「体育の時には5分前に教室に戻って着替えて並んでおくことになっていたでしょう?!」と子どもと一緒に叱られることになってしまう。でも、そういう場合たいてい子ども達は本気で「休み時間は55分まで」と思ってるんです。次は国語だと勘違いしていたり、自分達は急げば一瞬で着替えが済むから間に合えばいいと思っていたりも。

同じことが給食のお代わりや掃除などでも起きます。学級独自のルールを作っている先生もいますし、学校全体で改善に取り組み、特別なやり方を今年から導入したので子ども達に定着していないなんて場合もあります。ルールを正しく守らないと子ども達の喧嘩の原因にもなったりしますので、自分の子どもの頃とはやり方が違うと考えて、担任の先生にきちんと確認を取るようにしましょう。

7.単位のためだけの実習でも、次の実習生のために真剣にやろう

実習に入る前に「将来は学校の先生になろうと思っているの?」と尋ねると「実は、単位を取らないと卒業できないので仕方なく来ました」という学生さんはかなりいます。「この大学のこの学部なら卒業時に教員免許が取れる」というのは、入る時にはとても合理的に見えるシステムなんでしょうが、在籍中に自分の将来についていろいろ悩んだ末に教職以外を選択した学生にとっては、教員免許を取ること自体はお荷物になってしまうんですよね。自分の未来に直結することだけに専念したいだろうこの時期、教育実習にかなりの時間を割かれるというのは厳しいだろうと思いますが、それでも実習期間中は真剣に取り組んで欲しいと思います。

学生がどんな進路を選んでいたとしても、学校や子どもから見れば「教育実習生(先生の卵)」の一人なのです。「○○大学から来た実習生は良く子ども達と遊んでくれていたね」「去年の実習生はいつもにこにこしてて挨拶が気持ちよかったよ」など、いい思い出が残れば次の実習生の依頼が来た時にも先生方は「忙しいけど、がんばって引き受けましょうかね。子ども達も喜ぶし」と前向きに取り組んで下さいます。でも、逆だったら…「え~、ただでさえ運動会で忙しいのに実習まで引き受けなきゃいけないの~?(-"-;)」という気持ちで次の実習生に対応することになりますから、あなたが実習をいい加減に済ませた場合、ツケは次の実習生に降りかかっていく…ということを理解して欲しいと思います。

でも「小学校の先生になるのが夢でした」なんて無理に嘘をつかなくても大丈夫です。大抵の場合、先生方は「将来教職に就くなら、こんなところもしっかり教えておこう」「教職でないなら、まず子どもとしっかり遊んでもらって、最低限のことだけはきちんと指導し、日頃見えない学校の様子を知っておいてもらおう」などと考えて指導して下さると思います。あなたは、自分がどういう状況で実習に臨んでいるのかを正直に話し、実習中は、与えられたことについて精一杯の努力をする。そして、子ども達と笑顔で実習を終えることができたら大成功ですよ。

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